不正咬合を
放置するリスク

不正咬合はたんに見た目が悪いだけではありません。虫歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、放置することで様々な心身の不調につながってしまいます。
このページでは、不正咬合を放置する将来的なリスクについてご説明します。

顎関節症は、口を開けたり閉じたりする際に顎が痛い、音がする、開けにくいなどの症状が現れる疾患です。悪化するとほとんど口が開けられなくなったり、食事の際に痛みを伴ったりと日常生活に支障をきたすこともあります。

顎関節症は顎まわりの関節や筋肉に負担がかかることで発症・悪化します。負担がかかる原因としては、ストレス・歯並び・姿勢など多岐にわたります。
歯並びが悪いからといって必ずしも顎関節症になるわけではありませんが、歯並びが悪いと多くの場合顎まわりの関節や筋肉に負担がかかってしまいます。左右どちらかで噛む癖がついたり、歯ぎしりや食いしばり癖がついたりしてしまうためです。

不正咬合は慢性的な頭痛や肩こりを引き起こすことがあります。
嚙み合わせが悪いと顎や首回りの筋肉に余計な負担がかかり、筋肉が緊張しやすくなるためです。顎の筋肉は頭・首・肩・腰など全身の筋肉と繋がっているため、顎周りの筋肉の緊張が全身につたわって全身のこりにもつながります。

顎の骨への不均等な負荷は、首から肩、背骨にかけて連鎖的に悪影響を与えます。徐々に猫背や反り腰といった姿勢不良となることがあります。

顎の筋肉は側頭筋（頭部の筋肉）にもつながっています。顎の筋肉が緊張し血流が悪化することで側頭筋にも悪影響が及び、頭痛や目まいを引き起こすことがあります。

噛むという行為は、脳の血流を促進して脳を刺激する役割もあります。不正咬合によって噛む頻度が減ることで集中力が低下し、勉強や仕事のパフォーマンスが下がる可能性があります。

歯並びが悪いと、食べ物を嚙みちぎったりすり潰したりしにくくなるため、十分に咀嚼せずに飲み込んでしまいがちです。十分に咀嚼せずに飲み込むと、食べ物を消化する際に胃腸に負担がかかってしまいます。
慢性的な消化不良によって胃腸の痛みや胃もたれが起きやすくなってしまいます。

唾液は咀嚼によって分泌が高まるものなので、歯並びが悪いと唾液の分泌量も減ります。特にデンプンは唾液に含まれる成分によって分解されるため、お米や小麦粉類の消化が悪くなってしまいます。

不正咬合による顎周りの筋肉の緊張は睡眠時も続きます。顎の周辺の神経や関節にも負担がかかり続けることで自律神経が乱れ、交感神経（興奮モード）が優位になり睡眠の質が低下してしまいます。

歯並びが悪いと口呼吸になりやすくなります。口呼吸は睡眠時にのどを狭めてしまうため、いびきや無呼吸が生じやすくなります。脳の中枢から「呼吸が正常でない」という信号が出て覚醒反応が起こり、深い眠りを妨げてしまいます。

不正咬合は放置することでより悪化するリスクがあります。歯並びが悪いと口呼吸や片側で噛むといった悪癖が習慣化しやすくなります。悪癖によって継続的に歯に力が加わることで歯が動いてより歯並びが悪化してしまいます。